■岩谷堂箪笥の材料
◆材料〜木材
 岩谷堂箪笥に使われる木材は、主に欅、桐、栗、杉などです。なかでも、最も岩谷堂箪笥を特徴づけているものが欅です。欅には木理(杢目)の重厚さがあります。岩谷堂箪笥には強い材質(粘り強い性質)を誇る欅が使用されています。岩手県内では北上山系に良質の欅が多く、このことが岩谷堂箪笥のデザインの基本になったと思われます。
 一方、箪笥の内部には桐の無垢材が使われています。岩手県の花が桐に指定されているように岩手県は南部桐と呼ばれる桐の産地でもあります。桐の美しい肌理(木目)は箪笥の高級感を増すだけでなく、狂いがなく火に強い桐の特性は、衣類を長い間大切に守る箪笥に最適です。
◆材料〜漆(うるし)
 「漆」は漆の木に傷をつけて樹液を集めたものです。
岩谷堂箪笥に使われる漆は、主に生漆、精製生漆、クロメ漆、木地呂漆などです。岩手県は国内有数の生漆の産地であったことから、重厚な漆塗装の技術が継承されたと思われます。
 これらの数種類の漆を、下塗り、中塗り、上塗りなど各工程に合わせて使用しています。
◆材料〜金具
 岩谷堂箪笥に使われる金具は、「手打彫り」のものと「南部鉄器」のものがあります。さらに「手打彫り」には鉄製と銅製があります。
「手打彫り」に使用される地金の厚さは0.8mm以上で、引手、蝶番、錠、鍵等すべて手作りで作られます。
材料
秋の日差しを浴びる欅
南部鉄器金具
手打彫り金具